看護実習が終了しました

今年も、千葉労災看護専門学校の看護実習の受入をしました。

台風15号の影響による停電で受け入れをお断りせざるを得なかった日もあり、例年よりも実習日数は少なめとなりましたが、それぞれの学びと発見があったことを願うばかりです。さて、今年の学生さんの目に「たぬき工房」はどのように映ったのでしょうか?実習を受けた学生さんの感想です。

 

—– 学生さんの感想 ここから—–

今回たぬき工房で実習させていただき、利用者さんとの交流を目的に料理プログラムや面談を行いました。初日の実習では「活動をしながら交流をしたり、相手のことについて知りたい」と考えていました。しかし、実習担当者から「2つのことを同時にすることは難しいから、活動しながら違うことを聞かれても答えるのは難しい」と指導していただき、利用者との交流の仕方を考え直すことに繋がりました。関わり方によって学生が与える影響を考えるきっかけとなりました。
藤田 怜花

実習を通して、自分自身の考え方を変えるきっかけになりました。また、他者にわかるように伝えるため、論点・論拠・意思という構成にすることで考えが整理され、伝わりやすくなるということを実感しました。利用者の方々と関わらせていただき、発症から今後の思いを聞くことができました。その中でたぬき工房での生活がその方の生活の一部になっているということのほかに精神疾患への理解が乏しいことやなどが残っていることが現状の問題としてあると実感しました。そのため地域社会と医療との連携が必要であると感じました。今回学ばせていただいたことを今後の生活や学習に活かしていきたいと思います。
村上 優花

実習を通して、改めて自分で考え、その考えを相手に分かりやすく伝えることの難しさや大切さを学びました。今まで、こう言わないといけないということにとらわれ、言葉に発してしたことが表面的で、深く考えを持っていなかったのだと気づきました。そのため、論点、論拠、意思の3つの構成で考え、整理することで相手に伝わりやすい表現になると感じました。今回は、自分たちが学びたいことと思ったことに対して情報収集、計画を立案し、実践することがより学びの多いものとなり達成感があったんだと感じることができました。また、利用者さんと面談させていただき、たぬき工房にいて楽しい、ここでの作業も楽しい、ここに居続けたいと、今の思いや今後の目標も聞くことができ、利用者さんにとってたぬき工房は、楽しい場所で自分らしくいることができる居場所そのものなんだと感じました。今回の実習で、自分という人間について考え、今までを振り返ったり、希望を持って今を生き続けていくことや、自分らしくいられる居場所があることで、今の自分が生き続けていくことに意味があると感じました。
下山田 未来

たぬき工房での実習を通して、自己の意見や考えを持つことが大切な実習であったと感じました。何度も自己の考えや感じたことを伝える場面が多くあり、自分はこれに対してどのように考えたり、感じたりしているのだろう、と自己を見つめ直すことが多々ありました。また、10分間、自分の本音を相手に伝える時間がありました。結果としては、この10分間相手に伝えたことは果たして本音であったのかわからないまま終わりました。これらの経験から、私は物事を考えているようでよく考えられていないのではないか、本音を伝えているようで本当は自分でも自己の本音から目を逸らしているのではないかということに気づくことができました。これは、今まで気づかなかった自分の一面であり、気づいたときにははっとしました。たぬき工房での実習で、改めて考える過程について学ぶことができました。今回学んだ、考える過程を踏んで物事を考え、自己の考えや意見を明確化して相手に伝えられるようにしたいと思いました。さらに、自分自身で自己の本音と向き合い、自分が今何を思い、感じているのか素直に自分を受け入れられるように過ごしていこうと思いました。
片平 愛生

実習をさせていただき、利用者さんが社会復帰を目指すためにたぬき工房で行われていることを知る事ができました。また、実際に利用者さんと関わることで、利用者さんの考えていることを知ることができました。また、その考えは私が予想していたものと大きく変わっていたりすることが多かったので、実際に話してみることが大切であるという事を学びました。また、この実習を通して自分を見つめなおすいい機会となりました。
森 菜々美

今回実習を行わせていただき、コミュニケーションについてや考えるとは何かを改めて考えることができました。また、今までの自分や今後のことについてなど自分を見つめ直す実習でした。利用者さんとお話をする中で、工房は利用者さんにとって安心できる場所なのだと知りました。また、利用者さんが復職するための支援も行っているのだと知りました。このことから、工房は利用者さんにとってとても大切な場所であり、心のよりどころでもあるのではないかと感じました。この実習で感じ・考えたことを今後の実習でも生かしていきたいと思います。
鈴木 綾乃

私たち看護学生が実習中にかかわるのは、そのほとんどが、病気を理由に病院に入院されている「患者さん」です。自宅や施設など、退院して社会に戻っていく患者様ももちろんいらっしゃいますが、病棟での実習中に学生としてかかわれるとしても、退院カンファレンスへの参加や、生活指導にとどまります。実際に退院したあとの「患者さん」がどう過ごしていくのかはわかりません。
そして今回、たぬき工房にて実習させていただき、疾患を持ちながら社会で生活する方々とかかわりました。実習中ではミーティングを計画し、メンバーさんとともに現在の生活について、最近楽しんでいることや、意識して取り組んでいることなどを共有し、1年後の未来の自分が自分を振り返る機会を、1年後の自分への手紙という形で残しました。ミーティングでは、メンバーさんが生きていく中で楽しみとしていること、感じている苦痛や、抱えている事情など様々なお話をきき、メンバーの人間性に少しだけ触れることができたように思いました。手紙は、学生や職員は内容に関与せず、見るのは1年後の自分だけということを前提に、それぞれ思い思いの内容を、イラストや文章で便箋にしたためました。このプログラムを通して、私が看護の対象とする人々は、「患者さん」は、「疾患とともに生きる人」なのだと改めて感じました。
私は今回の実習で学んだことから、関係としては看護師と患者だとしても、相手は「疾患と共にいきる一人の人間」だということを忘れないようにしようと思いました。病院で見るのはその人の一部分のみ、退院後もその人の人生は続いていくということを念頭に、疾患の向こう側、その人がどんなことに喜びを感じ、どんなことに憤るのか、その人の考え方や人となりなど、「患者さんではない一面」にも目を向け、相手に関心を持ってかかわる姿勢を大切にしていきたいと思いました。
橋本 南生

始めに、たぬき工房と聞いて病院の実習後だったため設備のイメージは病院をイメージしていた。しかし、木で作成された自然で落ち着く空間の場所と建物であり、アットホームな感じがした。実習担当者さんと話していく中で、普段素直に思っていても場に合った言葉を自然と選び、教員や病棟の方の評価を受けるための発言をしていましたが、自然な自身の思いを素直に話すことができ、解放感を感じました。メンバーの方たちと自分たちがしたいことを時間かけて計画して、正直前日は参加してくれる方がいなかったらどうしようと不安になりました。実際に、メンバーさんは予想より多く参加して下さり、感想として「楽しかった」、「1週間くらいいてほしい」、「良い経験だった」という反応を貰った時には、楽しんでほしい、めったにやらないことをしてもらいたい。と思って考えたことの結果だと思うと素直に嬉しかったです。学生自身も楽しめたことが大きく、ミーティング中のメンバーさんの言葉には勉強になることばかりで相手の受けとめもリアルに感じられて50分が短く濃厚に感じました。行きかえりの道中ではすごく疲労感があったのですが、工房に行ってからは短く感じました。お昼寝時間も10分きっかり寝かせていただきました。梅ジュースがとてもおいしかったことと革細工の仕上がりがすごく、ほしい!と何度も思いました。
諸戸 綺李

初めはイメージが付かず不安がいっぱいでした。しかし、実習をしてみると利用者さんはイキイキとしていて、とても楽しそうにしていました。病院では看護師の方が管理をしていましたが、たぬき工房では、選択肢を利用者に与えていたり、自立できるようにサポートしていて、もてる力を最大限に生かした関わりをしているのだと学びました。病院の中だけでなく地域での関わり方を理解することが出来たため、今後の実習で活かしていきたいです。
岩田 紀香
今回たぬき工房で実習に参加させていただき、地域活動支援センターのイメージが変わりました。これまでは障害がある方が作業ができるように厳しくされているようなイメージがありました。しかし、たぬき工房では、利用者さんがやりたいことをやりたい時間にできるように、全て本人に任せており、これが利用者さんが生き生きと作業に取り組むことや、自立して生活することへの支援に繋がっているということがわかりました。また、実習では学生が考えたプログラムを実施させていただき、自分は利用者さんと絵を描くプログラムをさせていただきました。目的や目標、方法を明確にすれば学生がやりたいことをやらせていただけることは、学生としても普段とは違う視点からの学びが得られ、とても有意義な実習になりました。
池田 亮人

 

  

 

—– 学生さんの感想 ここまで—–

たぬき工房での実習は、実習担当者からのオリエンテーションを経て、学生自ら実習計画を立て、実践するスタイルです。
今年は以下の3点を中心としたオリエンテーションを行いました。

1. 働くってどういうこと?何のため誰のために働くのか?
2. 働き続けるには何が必要なのか?
3. 働けなくなったときに考えることとは?

働いた経験が少ない学生にしてみれば「言われたこと・やるべきことを正確に行う」という病棟実習とは違い、自分の気持ちや考えを問われる場面に相当な戸惑いを感じている様子でしたが、労働災害で休職を余儀なくされている方、復職を目指す方と向き合う立場になる学生が「働き続けることの大変さ」を知ることで、疾患を取り巻く環境と社会が労働寿命を左右することを理解してもらうのが狙いでした。

看護師として何をするか?以前に、学生自身が労働者として組織で働くことをイメージしてみるプロセスの中で、思わぬ本音やイマドキの教育事情、生活環境の複雑さを知ることとなりましたが、メンバーの経験と言葉でプレッシャーと生活環境の複雑さそのものが心因性疾患のきっかけになること、自分自身を管理する術を身につけていくことの大切さを伝えられた実習となったように思います。
学生自身も「労働者」になることを意識した上で、世の中には労働災害として認められない労働者もいれば、労災の対象とならない非正規労働者、外国人労働者もたくさん存在していること、そのような社会の中で看護師として、どういう仕事をしていきたいか?を考える一助となってくれれば…と切に願う実習となりました。

今回、実習に使ったツール
「伝わる・揺さぶる!文章を書く (山田ズーニー著)」
「たぬきすごろく ~事件だよ!全員集合版~」

この本は、ここ数年毎回のように実習で活躍する、考えをまとめるためのツールです。

すごろくは、今年5月の自主イベントの余興にと即席で作った「メンバーが病気になってから起きた・起こした事件」の数々を5段階の衝撃レベルをつけてすごろく化したものです。
イベントでも実習でも予想以上に好評をいただき、当事者の語り・経験に勝るものはないと実感させられました。

 

一例として・・・
橋から落ちた(衝撃レベル5)
社会に出て仕事が覚えられず、職を転々とする(衝撃レベル4)
ドクターヘリで病院に送られる(衝撃レベル5)
スーパーでスイカを盗んで捕まった(衝撃レベル3)

このすごろくの面白いところは、良かったことも「事件」にすることです。

のんびりテレビを観られるようになった(衝撃レベル5)
家出したら、家族の接し方が優しくなった(衝撃レベル5)
入院して、同じ患者さんと仲良くなった(衝撃レベル3)

中にはこんなコマも

看護師さんに優しくされた(スタートに戻る)

学生の学びたい、知りたいという姿勢に協力してくれるメンバーのおかげで実習が成り立っています。たぬき工房で実習した学生の皆さんが広く長く社会で活躍されることを願います。